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永田央(助教授) 分子研リポート2005 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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研究系及び研究施設の現状 211

永 田   央(助教授) (1998 年 3 月 16 日着任)

A -1)専門領域:有機化学、錯体化学

A -2)研究課題:

a) 空間制御された大型有機分子内での電子移動 b)光励起電子移動を利用した触媒反応の開発 c) 金属ナノ粒子・有機分子複合体の合成

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) コア部分にポルフィリン,骨格部分にフェロセニル基を持つデンドリマー分子の電子移動挙動について詳細に調べ た。フェロセニル基の酸化電位はデンドリマーの世代には依存せず一定の値をとることから,各フェロセニル基は 特別な相互作用を持たず独立に酸化される。ところが,パルスボルタンメトリーの結果から電極電子移動の速度定 数を見積もると,ポルフィリンの酸化に比べてフェロセニル基の酸化が遅いことが示唆された。溶媒・支持電解質を 含めた分子動力学計算の結果から,律速段階は(高分子系でよく見られる)電解質の再配置ではなく,分子そのもの の配向変化であると考えられる。

b)新規錯体触媒の開拓のため,低原子価コバルト錯体の合成と電気化学特性について検討した。1価コバルト・ジホス フィン錯体の新規合成法を開発し,従来法とくらべて行程数を1/3に短縮することに成功した。また,同じ配位子 を持つ3価錯体を別ルートで合成し,1価錯体と同一の電気化学的挙動を示すことを確認した。

c) 三脚型チオエーテルオリゴマーを用いた金ナノ粒子の安定化について検討した。5-アリルオキシ-1,3-キシリレン基 を9個持つオリゴマーは直径1.5 nm程度のナノ粒子と安定な複合体を作るが,1個のナノ粒子に対して多数のオリ ゴマー分子が結合している。ナノ粒子のサイズと形に合わせて分子設計を行えば1:1複合体の生成が期待できるが, 自由度の大きな三脚型分子の3次元構造を予測することは容易ではない。そこで,キシリレン基のベンゼン環をビ フェニル・ナフタレン・フルオレン等で置き換えた分子を構成要素として想定し,コンビナトリアル計算化学を用い て有望な構造を探索した。得られた構造は化学的直感と一致するもので,このような手法は複雑な分子の設計に有 用であると言える。

B -1) 学術論文

Y. HOSOKAWA, S. MAKI and T. NAGATA, “Gold Nanoparticles Stabilized by Tripod Thioether Oligomers: Synthesis and Molecular Dynamics Studies,” Bull. Chem. Soc. Jpn. 78, 1773–1782 (2005).

B -7) 学会および社会的活動 学協会役員、委員

日本化学会東海支部代議員 (1999-2000).

(2)

212 研究系及び研究施設の現状 B -10)外部獲得資金

奨励研究 , 「光化学系 II の機能モデルを目指すポルフィリン含有複合超分子系の合成」, 永田 央 (1997年 -1998年). 萌芽研究 , 「無機ナノ粒子を包含する単一分子素子を用いた光合成物質変換」, 永田 央 (2003年 -2004年).

特定領域研究(公募研究), 「デザインされた空孔を持つ有機分子と金属ナノ粒子の1:1複合体の調製」, (2004年 -2005年).

C ) 研究活動の課題と展望

これまで一貫して光合成モデルを意識した分子の合成に取り組んできたが,モデル化学が生体分子に近付くためには,こ れまで以上に複雑な内部構造を持った分子を自由に設計できる方法が必要であると感じている。研究課題の(c)は光合成 モデルという点では少し脇道に入ったテーマ(もともと人工光合成で使われるコロイド系を分子モデルに持ち込むことが狙 いだった)だが,複雑な分子の設計法という点で新しい方向に進み始めた感触を得ている。今後は,この方向を(a), (b)の課 題にも取り入れて,生体分子のモデル化学の新局面を開いていきたい。

参照

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